どーもー!
髪と頭皮のことを真剣に考える美容師あっくんです。
ヘアカラートリートメントの中でシェアナンバー1の「利尻ヘアカラートリートメント」
『植物由来28種のうるおい成分配合』『無添加』『ノンシリコン』など明記されているカラートリートメントタイプの家庭用白髪染めとして爆発的に売れているのがこの「利尻ヘアカラートリートメント」です。
しかし、安全にしっかり綺麗に染まると評判の一方で、
こちらの利尻ヘアカラーで「かぶれた」「痒くなった」などのご意見もお聞きします。
今回は低刺激で安全だと言われている「利尻ヘアカラートリートメント」でかゆみが出てしまう原因について調べてみたところ、
その成分の中にアレルギーを起こしやすそうな成分をいくつか見つけることになりました。
この記事を読んでわかること
- 利尻ヘアカラートリートメントに配合されている染料
- 利尻ヘアカラートリートメントの安全性
- 利尻ヘアカラートリートメントに配合されているかぶれる可能性のある成分
メディア掲載情報
ヘアカラーでのアレルギーでお悩みの方に加えて、全国で理美容師向けのアレルギー・ノンジアミンカラーのセミナーも行っています。お気軽にお問い合わせ下さい。
〔もくじ〕
利尻ヘアカラートリートメントで白髪が染める仕組み
引用 https://www.sastty.com/shop/g/g140100/
まず「利尻ヘアカラートリートメント」で白髪が染まるのは、
利尻昆布のチカラでも、天然成分のチカラでもありません!
完全に化学染料のチカラです!
商品のネーミングから「利尻昆布の色素」で染まる様に思われている方も多いかもしれませんが、利尻ヘアカラートリートメントが白髪を染めてくれるのは、
「塩基性染料」と「HC染料」というれっきとしたヘアカラー染料の効果です。
引用 https://www.sastty.com/shop/g/g140100/
これは利尻ヘアカラートリートメントの公式サイトにもきちんと書かれています。
その方の宣伝文をみても天然素材・植物由来成分でうるおいを、みたいには書いていますが、
昆布のチカラ(染料)で染まるとは実は一切書いていないんですね。
(その他の天然色素は少し配合されています)
見た人が「利尻昆布」という北海道産の濃くて太い最高級の昆布のイメージに加えて、昆布やワカメなどの海藻類を食べると髪が黒くなるとか早く伸びるとかいう、
昔からの都市伝説のイメージで勝手に昆布が白髪を染めてくれていると思ってしまっているケースが多い様です。
塩基性染料・HC染料とは?
「塩基性染料」と「HC染料」は、もともとは海外などでよく使用されている染料なのですが、日本でも2001年の化粧品規制緩和によって、シャンプーやトリートメントなどの「化粧品」に配合することが可能になった染料です。
通常の酸化染料と比べて鮮やかな色味の表現が得意です。
通常のヘアカラー(酸化染料)は「医薬部外品」になります。
塩基性染料について
分子サイズが大きいため髪の内部にまで浸透しません。キューティクルを開くことなく、静電気的な反応によって髪の表面付近(特に傷んでいるところ)に染色します。
髪を傷める心配はありませんが、髪の内部に染料が浸透しないために、酸化染料と比べて色持ちはあまり良くありません。
塩基性染料が使用されている製品の成分表には、
「塩基性青○、塩基性黄○」など、
「塩基性+色+数字」で表記されています。
HC染料について
分子サイズが小さく髪の内部にまで浸透します。酸化染料のようにキューティクルを開かずに髪の内部に染色できるので髪を傷める心配がありません。
ただし分子サイズが小さいため簡単に外部に流れ出してしまい、シャンプーなどで色落ちしやすく色持ちは良くありません。
HC染料が使用されている白髪染めの成分表には
「HC青○、HC黄○」など
「HC+色+数字」と表記されています。
この塩基性染料とHC染料はトリートメント成分との相性が良いため、
トリートメント効果のある成分と一緒に配合されて、白髪染めにトリートメント効果を加えたヘアカラートリートメントとして販売されている事が多いです。
塩基性染料は吸着性があるものの色数が多くないため、色数の多いHC染料と併せて使用することでより多い色を作り出しています。
その為ほとんどのヘアカラートリートメントは、塩基性染料とHC染料を組み合わし、バランスよく配合させることで、色持ちと発色を工夫しています。
・塩基性染料…分子が大きく髪の毛の表面にくっつきやすいが色数が少ない
・HC染料…分子が小さく髪の毛の内部まで入りやすいが、出るのも早い
共に化粧品に配合する事ができるので、一般的なカラートリートメントにバランスよく配合されている
これを知った上で先ほどの利尻ヘアカラーの染着成分の説明を読むと、この塩基性染料とHC染料だという事がわかります。
- 「4つのイオン色素」が塩基性染料
- 「ナノ分子カラー」がHC染料
という事で、図の表現も染料の特徴と同じことを表しているのがわかります。
塩基性染料とHC染料の安全性
その塩基性染料とHC染料ですが、現時点で安全性の高い染料と言われています。
酸化染料のようにキューティクルを開くことなく、髪に染色するため、繰り返し染めてもほとんど髪のダメージを与えることなく染めることができます。
そして皮膚に付いても比較的取れやすいので地肌へのダメージも少なく安全に使うことができます。
酸化染料に比べて色持ちが短いというデメリットはありますが、安心・安全に使うことができるのが塩基性染料とHC染料の特徴です。
トリートメントに配合できるために、手触り良くツヤも出やすいために髪が傷んでいる人でも優しく染めることができます。
そもそも化学染料であろうが天然染料であろうが、絶対に安心安全で誰でも大丈夫だというものはありません。
使用の前には必ず”パッチテスト”を、そして異常を感じたらすぐに流したり、同じものを無理して使用しない事が大切です。
ヘアカラーでかぶれる原因
僕のところには毎日のようにヘアカラーかぶれでお悩みの方がたくさんご来店されます。
その中で最も多いのは「ジアミンアレルギー」です。
通常のヘアカラー(酸化染毛剤)に含まれる「パラフェニレンジアミン」という酸化染料にアレルギーをお持ちの方がとても多いです。
こちらのジアミンは「酸化染料」という種類になり、
利尻ヘアカラートリートメントに含まれる「塩基性染料」や「HC染料」とは”別の種類”になりますので、ジアミンアレルギーの方でも利尻ヘアカラートリートメントならば使用することが可能です。
ただし、この利尻ヘアカラートリートメントでもかぶれた、痒くなったなどの報告をたまに聞く事があります。
利尻ヘアカラートリートメントでかぶれる報告例
利尻昆布白髪染シャンプーを使ったら、生え際に湿疹ができ、まぶたは赤く腫れてしまいました。
病院で眼軟膏を処方されました。
安全な白髪染だと思って購入したのに残念です。
何故こんな症状が出たのでしょうか?病院では納得する解答が得られませんでした。
教えて頂ければ有難いです。
など、
この様に僕が担当したお客様だけでなく、こちらの「Yahoo!知恵袋」でのお悩みご相談をはじめネット上でも、
「利尻ヘアカラートリートメントを使用したけど痒くなった」というケースがあるようです。
HC塩基性染料やトリートメント器材に含まれる成分も絶対に安全だとは言い切れないのですが、
念のためにお店で取り扱っているカラートリートメントでパッチテスト、そして実際に染めさせていただくと、
「痒みもなく大丈夫」だったというケースがたびたびあります。
知り合いの美容師さんなどに聞いてもこういった、
利尻ヘアカラートリートメントおよび市販されているカラートリートメントは痒みが出たけど、美容室用のカラートリートメントだと大丈夫な方が多いという報告をたくさん聞いています。
その為、なぜ同じHC塩基性染料やカラートリートメントタイプのヘアカラーでありながら利尻ヘアカラーおよび市販のカラトリで痒みが出る方が多いのか調べて見ることにしました。
利尻ヘアカラートリートメントの成分表
こちらが利尻ヘアカラートリートメントに表記されている成分表になります。
わかりやすい様に書き出してみると、
利尻ヘアカラー成分一覧
水(特殊水)、ベヘニルアルコール、ミリスチルアルコール、ステアラミドプロビルジメチルアミン、ステアリン酸、シクロヘキサン-1,4-ジカルボン酸ビスエトキシジグリコール、BG、イソペンチルジオール、バルミチン酸エチルヘキシル、ミツロウ、リシリコンブエキス、ローヤルゼリーエキス、アルギン酸Na、加水分解シルク、加水分解ケラチン(羊毛)、 カキタンニン、乳酸、乳酸Na、水添ヤシ油、ローマカミツレ花エキス、ローズマリー葉エキス、ミリスチン酸、ボタンエキス、プラセンタエキス、フユボダイジュ花エキス、パーシック油、ニンニク根エキス、トコフェロール、センブリエキス、セイヨウキズタ葉/茎エキス、セイヨウアカマツ球果エキス、ステアリン酸グリセリル、ゴボウ根エキス、ゲンチアナ根エキス、カワラヨモギ花エキス、カミツレ花エキス、オランダガラシ葉エキス、オドリコソウ花エキス、オタネニンジン根エキス、オクラ果実エキス、エタノール、アルニカ花エキス、アルテア根エキス、PEG-40水添ヒマシ油、オオウメガサソウ葉エキス、ユズ果実エキス、塩化ヒドロキシプロピルトリモニウムデンプン、加水分解コンキオリン、ポリクオタニウム-10、AMP、PPG-3カプリリルエーテル、イノシトール、グリチルリチン酸2K、バチルアルコール、ヒアルロン酸ヒドロキシブプロビルトリモニウム、ポリアミノプロビルビグアニド、マロン酸ビスエチルヘキシルヒドロキシジメトキシベンジル、水溶性アナトー、加水分解クチナシエキス、ムラサキ根エキス、ウコン根茎エキス、4-ヒドロキシプロビルアミノ-3-ニトロフェノール、HC青2、HC黄4、塩基性青99、塩基性茶16、塩基性赤76、塩基性黄57
先ほど説明させていただいた、
塩基性染料とHC染料はこの成分表の最後の方に書かれていますね。
HC青2、HC黄4が「HC染料」
塩基性青99、塩基性茶16、塩基性赤76、塩基性黄57 が「塩基性染料」となります。
これらの塩基性染料とHC染料が白髪を染めてくれます。
この他の成分、トリートメントの主成分を見ても
- 水(特殊水)・・・これはよくわかりませんでした笑
- ベヘニルアルコール・・・ナタネ油から得ることが出来る油で、安全性が高く乳化剤や増粘剤として使用されます。
- ミリスチルアルコール・・・ヤシ油やパーム油といった天然植物油から抽出される油に近い性質を持つ高級アルコール。安全性は高い
- ステアラミドプロビルジメチルアミン・・・三級アミン塩の第三級カチオン界面活性剤、カチオン系としては刺激性が低く、比較的安全性が高いといえます。
といった刺激性やアレルギー性の低い成分で構成されています。
その他の成分を見ても、様々な植物性エキスを配合されているものの、特別に刺激性やアレルギーの高い成分が配合されているわけでは無さそうです。
「利尻ヘアカラートリートメント」に配合されている「染料」も「トリートメント成分」も共に安全性の高い、優しい成分で構成されています。
それでは、利尻ヘアカラートリートメントで痒みの出る人がいるのはどうしてなんだろうと思いますが、
さらに成分を眺めていると「これらの成分が怪しい」と思ったものがありましたのでご説明していきます。
かぶれる原因 推測その①『天然染料』
引用 https://www.sastty.com/shop/g/g140100/
成分表と利尻ヘアカラートリートメントの説明文を読んでいると、利尻ヘアカラートリートメントに配合されている染料は、
「塩基性染料」「HC染料」だけでなく、『天然染料』も使われています。
成分表でいうと、
水溶性アナトー、加水分解クチナシエキス、ムラサキ根エキス、ウコン根茎エキス、
こちらが植物からとられた天然の染料となります。
これらは食品添加物みたいな染料で比較的安全性は高いのですが、
よく毛染めに使用される「ヘナ」とか「インディゴ」にアレルギー反応を示す方もいますので、これらの天然染料に刺激を感じたりアレルギー反応を示す方もいらっしゃるのかもしれません。
しかし、これらの天然染料はトリートメント剤だけの着色だけで、髪の毛を染める効果は無いと思われます。
唯一ウコンのエキスは入っておりますが、成分表の順により、1%以下の配合量となっていますので、この1%以下程度の配合量では髪の毛が染まるとは思えません。
白髪を染めることのできない天然染料をたくさん入れればアレルギーのリスクは上がるだけであまりメリットはありません。
もしこの天然染料たちを配合してる目的が「天然成分たっぷりで髪とか頭皮に優しそう」と思わせているだけなら全く無意味なので、この天然染料は丸々入れない方がより安全なヘアカラーになるのにと思ってしまいました。
かぶれる原因 推測その②『4-ヒドロキシプロピルアミノ-3-ニトロフェノール』
利尻ヘアカラートリートメントの成分表の天然染料とHC塩基性染料が書かれている間(ウコン根茎エキスとHC青2との間)に、
「4-ヒドロキシプロピルアミノ-3-ニトロフェノール」
という成分が書かれています。
この余り見慣れない成分名を調べてみると「HC染料」の一種の様です。
同じ様にこの成分に疑問を持ち、詳しく調べられた方のブログがありましたのでご紹介します。
こちらのブログによると、
「4-ヒドロキシプロピルアミノ-3-ニトロフェノール」は
- レッドブラウン系の色
- ヘアカラートリートメントに深みを出す(白髪がよりカバーされやすくする)ために配合されている
- ヘアカラートリートメント後に、普通のカラーやパーマをして、カラートリートメントの色味が褪色した時にまれに毛髪が緑っぽくなることが過去には報告されていますが、それを解消するために、深みのあるレッドブラウン色である4-ヒドロキシプロピルアミノ-3-ニトロフェノールを配合している。
- HC染料の仲間
- 発がん性や環境ホルモンのような健康被害に対しては安全
- 感作性はある(ごくまれにアレルギーを起こす人がいる)
という特徴があるようでその内容に概ね納得です。
「4-ヒドロキシプロピルアミノ-3-ニトロフェノール」は、HC染料のジャンルになり化粧品分類のシャンプーやトリートメントに配合できるようですが、
アミノフェノール系の染料となりますので、この成分にアレルギー反応を示してしまう方が意外といてるのでは!?
っていうのが僕の解釈です!
アミノフェノール系について
あまり聞き慣れない「アミノフェノール」ですが、
酸化染料の一種である「ジアミン」は有名ですが、酸化染料は「ジアミン系」だけでなく「アミノフェノール系」と呼ばれる種類の染料も配合されている事が多いです。
こちら代表的な酸化染料の種類です。
1番アレルギー反応を起こしやすいと言われている「パラフェニレンジアミン」と、
敏感な方だと同じ様にアレルギーを起こす可能性のあるアミノフェノール系の「パラアミノフェノール」は、
パラフェニレンジアミンととても良く似たカタチになっているのがわかります。
良く似たカタチというのは同じ様にアレルギー反応を起こしやすいという事になります。
今回の「4-ヒドロキシプロピルアミノ-3-ニトロフェノール」も、
この様なカタチをしていてますので、パラアミノフェノールに少し似たカタチだと言えます。
ちなみに、
これは他の塩基性染料のカタチですけど、こんなんだと全然違う!ってなると思います。
似ているカタチだとアレルギーの交差反応が起こってしまう場合がありますので、
「パラフェニレンジアミン」にアレルギー反応
⬇︎⬇︎⬇︎
「パラアミノフェノール」にもアレルギー反応
⬇︎⬇︎⬇︎
「4-ヒドロキシプロピルアミノ-3-ニトロフェノール」にもアレルギー反応
といった事が起こっている可能性があります。
もちろん他に配合されているHC染料や塩基性染料およびその他の成分である可能性もありますが、
美容室で使われるカラートリートメントタイプは大丈夫なのに、利尻ヘアカラートリートメントで痒みが出るという方はこの「4-ヒドロキシプロピルアミノ-3-ニトロフェノール」が原因かもしれないと考えてみてもいいかもしれません。
利尻ヘアカラートリートメントに限らず市販のカラートリートメントを使用して、痒くなった、かぶれたという方はその商品の成分表をチェックしてみてください
まとめ
かなりマニアックで難しい内容になりましたが要点をまとめておきます。
- 利尻ヘアカラートリートメントは昆布などの天然成分や天然染料で白髪を染めているのではない
- 利尻ヘアカラートリートメントに配合されている染料は「塩基性染料」と「HC染料」
- 「塩基性染料」と「HC染料」は安全性の高い成分
- ただし、アレルギーを多くお持ちの方や敏感な方は、天然成分やHC染料にも反応を示してしまうかもしれない
- 「 4-ヒドロキシプロピルアミノ-3-ニトロフェノール」はHC染料(フェノール系)の一種
- 「 4-ヒドロキシプロピルアミノ-3-ニトロフェノール」は少しジアミン染料に似たカタチをしているので注意する必要がある
といった感じになります。
今回は「利尻ヘアカラートリートメント」を使用される方が多いために、この利尻ヘアカラートリートメントでかぶれた方の原因を探るために、成分などを調べましたが、
この塩基性染料やHC染料を配合された商品はたくさんありますし、
同じ様に「4-ヒドロキシプロピルアミノ-3-ニトロフェノール」を配合した市販のカラートリートメントもたくさんあります。
天然成分でもアレルギーを起こす方はいらっしゃいますし、絶対に誰でも安全な成分などは存在しないと思っています。
それでも私に合う安全に白髪染めができるヘアカラーはないのかと、お探しの方はぜひご相談ください。
ではでは。
メディア掲載情報
ヘアカラーでのアレルギーでお悩みの方に加えて、全国で理美容師向けのアレルギー・ノンジアミンカラーのセミナーも行っています。お気軽にお問い合わせ下さい。
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