どーもー!
髪と頭皮のことを真剣に考える美容師あっくんです。
ヘアカラーに含まる「ジアミン」という成分。
一般の方々も聞く機会が増えてきたのではないでしょうか?
と、一般の方はジアミンについて疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか?
今回はそんな『ジアミン』について、ヘアカラーの研究開発に関わるあっくんが、ジアミンとはいったいどんなもので、どの様に注意すべき成分なのか詳しく書いていきたいとおもいます!
この記事を読んでわかること
- ジアミンって何?
- ジアミンはアレルギーを起こすの?
- ジアミンは頭皮に悪い成分なの?
- どうしてジアミンはヘアカラーに含まれるの?
- ジアミンに種類ってあるの?
- ジアミンの含まれないヘアカラーはあるの?
メディア掲載情報
ヘアカラーでのアレルギーでお悩みの方に加えて、全国で理美容師向けのアレルギー・ノンジアミンカラーのセミナーも行っています。お気軽にお問い合わせ下さい。
〔もくじ〕
ヘアカラーに含まれる『ジアミン』っていったい何?
”ジアミン”とは一般的な1剤と2剤を混ぜ合わせて調合するヘアカラー「酸化染毛剤」の1剤に含まれる「染料」(酸化染料)の通称です。
ヘアカラーにおけるベースの色となる、「ブラウン」や「ブラック」などの濃い色を少ない色素で出すことができ、
短時間で染まり、色持ちも良く、混ぜ合わせることでさまざまな色を簡単に作れるなどの理由から、現在のヘアカラーにおいて無くてはならない存在です。
ジアミンは危険な成分だと言われていますが、ヘアカラーを楽しむ為にはとても優れた染料でもあります。
「ジアミン」という成分をより理解してもらうためにまずはヘアカラーの仕組みからご説明させていただきます。
ヘアカラーの仕組み
いわゆるオシャレ染め、白髪染めなど、1剤2剤を使用の直前に混ぜて使用するタイプの「ヘアカラー(毛染め)」と呼ばれているものは、
『酸化染毛剤』という種類の毛染めになり「アルカリカラー」とも呼ばれています。
- ヘアカラー
- 酸化染毛剤
- アルカリカラー
という名称は基本的には全て「酸化染料」を含む同じ種類の染毛剤の事を示している事が多いです。
- 白髪染め
- オシャレ染め
と呼ばれるものも同様です。
酸化染毛剤の1剤には、
- 「酸化染料」
- 「アルカリ剤」
が主成分として配合されています。
そして2剤の方には
- 「酸化剤(過酸化水素)」
が主成分として配合されています。
【アルカリカラー(酸化染毛剤)の内容成分例】
《1剤》
- 酸化染料(パラフェニレンジアミン0.5~24%)
- カップラー(その他のジアミンなど25%)
- アンモニア液(4~8%)
- 非イオン界面活性剤(20~30%)
- 溶剤(プロピレングリコールやイソプロピルアルコール5~10%)
《2剤》
- 過酸化水素水2~6%
1剤に「酸化染料」と「アルカリ剤」が主成分として含まれており、それに「過酸化水素」を配合した2剤と呼ばれるものを混ぜることにより、
酸化染料+過酸化水素=『染色(染める)』
アルカリ剤+過酸化水素=『脱色(ブリーチ)』
が起こります。
『染色』と『脱色』が一度で行われることにより、”明るくしながら髪の毛に色を入れる“事ができます。そのため髪の毛を様々な色に染めることができるのです。
酸化染料は過酸化水素と混ざる事により、「酸化重合」という化学反応が起こり、入った染料が毛髪内で重合する(大きくなる)事で染着しますので、2ヶ月程度の長い期間髪色を楽しむ事ができます。
つまり、酸化染料を含む「酸化染毛剤」は、明るくしながら染める事ができ、色味の種類も豊富、色持ちにも優れ、ヘアカラーとしていかに優れたものかわかってもらえるかと思います。
酸化染毛剤(アルカリカラー)は1剤に含まれる『酸化染料』が毛髪中に浸透し、毛髪中で『過酸化水素』と酸化して結びつくことで発色し色を定着させます。
酸化染毛剤には『染色』と毛髪の色素であるメラニンを『脱色』する2つの働きをする作用があり、明るくしながら色を入れる「おしゃれ染め」や「明るい白髪染め」ができるのもそのためです。
(ヘアマニキュアなどは「染色」のみ、ブリーチなどは「脱色」のみと、片方しか行われません)
そんな優れたヘアカラーである酸化染毛剤の染料が何度も書いている『酸化染料』であり『ジアミン』です。
ここからさらに『ジアミン』について詳しく説明していきたいと思います。
ジアミン「パラフェニレンジアミン」について
ジアミンとは「白髪染め(白髪用)」や「オシャレ染め(黒髪用)」等のヘアカラー剤に、広く配合されている酸化染料の一つ。
正式名称は「パラフェニレンジアミン(英名=phenylenediamine,Diaminobenzene」
ヘアカラーの染毛成分の中で特に有名な、「パラフェニレンジアミン(略称PPDまたはPPDA)」を“ジアミン”と略したことから始まった酸化染料の俗称になります。
多くの酸化染毛剤で使用されている「パラフェニレンジアミン」は、
1863年ドイツのA・W・ホフマンにより発見されました。
1883年にはフランスのP・モネーが過酸化水素との組み合わせによる染色でヘアカラーの特許を取得。
その後、1907年 日本で酸化染料によるヘアカラー導入。
1916年 国内で酸化染料が工業化され過酸化水素を用いたヘアカラーがホーユーより登場しています。
酸化染料とジアミンの分類
「酸化染料」の代表的な成分として、
- パラフェニレンジアミン
- 硫酸トルエン2,5-ジアミン
- パラアミノフェノール
などがあります。これらは「染料中間体」とも呼ばれ、アルカリカラーのベースの色素となります。
①のパラフェニレンジアミンは、
先ほどご説明したように酸化染料の代表格で、最も歴史のあるヘアカラー染料となります。
暗めの色の表現が得意で白髪もカバーしやすいために、ほとんどの白髪染めに配合されている酸化染料です。
やや赤み寄りの発色のため、ピンク系やレッド系など暖色系全般に用いられることが多いです。
②の硫酸トルエン2,5-ジアミンは、
同じ染料中間体であるパラフェニレンジアミンと似た色域を持ちますが、暗く染まりにくく、やや青みの色に強く、赤みの色は彩度がでにくいという特徴があります。
白髪のカバーはあまり得意ではないが、寒色系の色味は得意のために赤みをおさえた最近のカラー剤には多く含まれています。
③のパラアミノフェノールは、
名前に「ジアミン」の名はありませんので「ジアミン染料」に分類されない場合もありますが、パラフェニレンジアミンとよく似た構造をしているアミノフェノール系と呼ばれるれっきとした酸化染料です。
色味としては、黄みやオレンジみのある染料のため、ゴールド系、オレンジ系、カッパー系などのカラーによく配合されています。ただし白髪への染まりはさほど良くありません。
この①②③の染料中間体をベースに「カップラー」と呼ばれる数十種類以上ある酸化染料を混ぜ合わせることで、様々な色味を作りだせる事ができるのが、この「酸化染料」「アルカリカラー」の大きな特徴となります。
つまり一般的に「ジアミン」と呼んでいる酸化染料は、「パラフェニレンジアミン」の場合が多いですが、酸化染料の種類としてはパラフェニレンジアミン以外にもいくつもあり、それらをまとめてジアミンと呼んでいる事も多いです。
そのため美容用語として「ジアミン」というのは、
- 「パラフェニレンジアミン」のこと
- 成分名に「ジアミン」の言葉が入っている酸化染料のこと
- 「酸化染料」全般のこと
というそれぞれの意味合いで、曖昧な区別のまま使われ方をしていますので、一言「ジアミン」と言われてもどれを示しているのかは少し考える必要があります。
「酸化染料」という染料にはジアミンやアミノフェノールと呼ばれるいくつかの種類があり、そのジアミンの中で1番有名で歴史が古いのが「パラフェニレンジアミン」になります。
「パラフェニレンジアミン」は、ジアミンの中でも特に優れた染色力を持っており、濃く早く発色する事から、ほとんどのアルカリカラーに配合されています。
「ジアミン」というと「パラフェニレンジアミン」の事を示す場合が多いですが、パラフェニレンジアミン以外にもジアミン染料はたくさんあります。
ジアミンの必要性と危険性
現在、ヘアカラーはジアミンを含む酸化染料と呼ばれる化学染料が使用されているものが主流です。
ジアミンはヘアカラーとしては、少量でよく染まり、色味の幅も広く作れることからとても優れた成分で、
とくに日本人含むアジアの人にとっては黒く染めることは大切になるので(白髪染め、黒染めなど)、今のところ『ジアミン』はヘアカラーの染料としては1番優れた成分なのですが、、、
しかし、この『ジアミン』、
アレルギー反応を引き起こす原因であるとして劇薬に指定されています!
このジャパニーズスタンダードアレルゲンに「パラフェニレンジアミン」が選ばれてしまっています。
ジアミンでアレルギー反応を起こす方の多くの原因が、『パラフェニレンジアミン(PPD)』だと言われています。
すでにヨーロッパでは、このPPDのヘアカラー剤としての使用が禁止されている国もあります。
(ただし、元がブロンドや金髪のために、日本人の様に、白髪を黒くしっかり染める必要性が少ないという理由もあります)
ジアミンアレルギーとは
そしてこの「ジアミン染料」が原因となって起こるアレルギー性接触皮膚炎のことを美容業界では『ジアミンアレルギー』と呼んでいます。
アレルギーとは誰にでも起こるのではなく、ある特定の人にだけ起こる免疫機能の異常反応のことです。
アレルギー体質などで先天的にパラフェニレンジアミンにアレルギーをお持ちの方もいらっしゃいますが、
花粉症などと同じで長年にわたって体内に蓄積され続けたものが、体内の許容量を超えたときに起こる可能性があるので今は大丈夫だと思っている方でも安心は出来ません。
ジアミンアレルギーの症状としては、皮膚のかぶれ、赤み、かゆみ、炎症などのほか、大量の抜け毛が発生するなどのトラブルがおこります。
また、時にはアナフィラキシーショックなど命に関わる症状を引き起こし、入院や点滴による治療が行なわれる事態になることもあります。
このような問題を避けるために、髪の毛を染める場合にはかならず事前にパッチテストを行ないましょう。
カラーリング剤を、使用する48時間前に腕の内側などの目立たない部分に少量塗布し、反応を見ます。
わずかでも赤み、かゆみ、炎症などの兆候があれば、使用を中止してください。
アレルギー反応はいつどんなタイミングで起こるのかはわかりません。今までなんともなかった方でも突然発症してしまうものです。
ジアミンの含まれるヘアカラーをするということはそういうリスクもあると知っておいて下さいね。
もしジアミンアレルギーになってしまうと、もうジアミンを含むヘアカラーが使用出来なくなります!
その時はジアミンの含まない「ノンジアミンカラー」を使用しないと染めることが出来なくなります。
ジアミンについてQ&A
今後こちらにジアミン、パラフェニレンジアミン、酸化染料、ノンジアミンカラーのよく聞かれる質問などを載せていきます。(随時更新予定)
①ジアミンの入っていないカラーが良いですか?
ジアミンアレルギーになってしまった方は少量でもジアミンの入ったカラーを使用するとアレルギー反応が出る可能性がありますので絶対に使用しない方が良いです。
ただ今回の記事にも書いてある様に、ジアミンはヘアカラーの染料としてはとても優れた成分です。今のところこのジアミンより早く染まり、深く染まり、色持ちが良く、色のバリエーションを作りだせる染料はありません。
ジアミンアレルギー、アレルギー体質でないのなら極端にジアミンを避ける必要もありません。ただしどんな方でもある日突然アレルギーになってしまう可能性はありますので注意や対策は必要だと思っています。
②ジアミンアレルギーになりたくないのですが対策はありますか?
ジアミンアレルギーになりたくないのであればジアミンを含まないヘアカラー「ノンジアミンカラー」を使うのが1番です。
ただし色味の幅が狭くなったり、色持ちが悪くなったり、時間がかかったりと、それぞれデメリットがあったりしますので、ご自身の希望に近い色になるノンジアミンカラーを見つけることが必要です。
今はまだアレルギーでないのなら、完全にノンジアミンカラーに切り替える必要もなく、交互に使用したり、ジアミンの少ない酸化染料を選んだり、塗布方法に気をつけてもらう事でも対策が可能です。
アレルギーやノンジアミンカラーに詳しい美容師さんとご相談ください。
③ノンジアミンカラーは髪の毛にも優しいですか?
ヘアカラーでのダメージの原因は細かいところを言えばたくさんありますが、1番の原因は「髪の毛を明るくすること」つまり脱色作用です。
ジアミン自体には脱色作用はありませんので基本的にはあまりダメージを与える様な成分ではありません。
ノンジアミンカラーをしても、明るく脱色をすれば傷みやすくなります。
結果的にノンジアミンカラーは髪を傷めにくいものが多いですが、ジアミンが入ってないからと言って髪の毛を傷めないわけではない事をご理解ください。
④ジアミンは発がん性があるのですか?
最近のアメリカの研究でヘアカラーの発がん性は低いという発表がありました。
国際がん研究機関 (IARC)のデータでもパラフェニレンジアミンおよびいくつかの酸化染料は、蛍光灯やコーヒーと同じ【グループ3】(発がん性が分類できないもの)に分類されています。
絶対に安全だとは言い切れませんが、酒やタバコなどよりは圧倒的に発がん性は低い物質であると思われます。
他にご質問があれば追加していきたいと思います。
ではでは。
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