どーもー!
髪と頭皮のことを真剣に考える美容師あっくんです。
ヘアカラーでかぶれやかゆみが出てきた方にオススメする昔からの定番の毛染めである「ヘアマニキュア」ですが、あまり染まりが良いものでない印象をお持ちの方が多いのではないでしょうか?
今回はそんなヘアマニキュアの染まりについて書いていきたいと思います。
〔もくじ〕
ヘアマニキュアって白髪の染まりと色持ちって悪くないですか?
酸性染料であるいわゆる『ヘアマニキュア』は、昔からヘアカラーでかぶれてしまう方にとって定番のノンジアミンカラーです。
明るくできない、地肌が染まるために根元を数ミリだけ開けて塗らないといけない、なんてデメリットはあるものの、
通常のヘアカラーと比べて、髪が傷みにくい、頭皮への刺激は少ない、アレルギー性が低い、鮮やかな色味が出しやすい、などのメリットがあります。
なので、僕もヘアカラーでのかぶれやアレルギーでお悩みのお客様に対して、ヘアマニキュアを勧めることも多いです。
しかし、そんなヘアマニキュアを勧めた際に、
たまに、
「ヘアマニキュアって(白髪)染まり悪くなくないですか?」
なんて言われることがあります。
一般的にはヘアマニキュアって染まりが悪かったり色落ちが早いイメージがあるようです。
なぜヘアマニキュアは染まりが悪いのでしょうか?
ヘアマニキュアの染まる仕組み
ヘアマニキュアがなぜ髪に染まるのかというと、
髪の毛は健康な状態(等電帯pH4.5~5.5)では+イオンと-イオンがつりあっている状態です。
そしてヘアマニキュアに使用される酸性染料は『マイナス(ー)イオン』を持つ染料になります。
ヘアマニキュアに入っている酸が髪を酸性にして+イオンを多くすることで、マニキュアの酸性染料(-イオン)が染着しやすくなります。
つまり磁石のように+ と - が、くっつくというとう電気的性質を利用して髪の毛に付着させています。
そして「ベンジルアルコール」というアルコールを利用して髪の毛の奥(といってもキューティクルの表面部分)に浸透させることで髪の毛に定着します。
さらに詳しくはこちら
染まる箇所としては、髪の毛の表面部分のキューティクルのところまでしか染まりませんので、
もう少し髪の内側のコルテックスまで浸透し、そこで酸化重合(発色)するヘアカラーと違い色持ちが悪いとされています。
なのでヘアカラーと比べてヘアマニキュアの染まりが悪かったり、色持ちが悪いのは仕組み上仕方ないことなのです。
ただ、
一般の方が染まりが悪いと感じられるのは、こんな染まりのメカニズムではなく、別の理由があると思っています。
一般の方がヘアマニキュアの染まりが悪いと思っている理由とは
そもそも一般の方はヘアマニキュアの染まる仕組みなんて、よほどマニアックな人でもない限り知りません。
昔からドラックストアなどに売ってあり、
お手軽に、自分で染めることができて、あまり髪も傷ませず、白髪をほんのり染めるイメージである場合が多いです。
僕はこの”お手軽に買えて自分で染めることがしやすいもの”である事がヘアマニキュアの染まりが悪いイメージを助長しているのでは無いかと思っています。
その理由を書いていきますね。
市販のヘアマニキュアで染めるとなぜ染まりが悪い?その理由とは
①わざと染まりにくくなっている
市販のヘアマニキュアはプロ用のヘアマニキュアと比べて”わざと”染まりが悪くなるように作られています。
それはメーカーの意地悪でもなんでもなく、上にも書いた様にヘアマニキュアの特徴として、
「頭皮など肌に付いてしまうと取れにくい」
ということがあります。
説明書にも地肌に付けないようにして塗ってくださいと注意書きもあると思いますが、
自分で頭皮とか肌に付けない様に塗るって無理ですよね?笑
僕らプロの美容師が塗っても地肌に付いてしまうことは多々あります。根元ギリギリの白髪を染めてあげたいと思えば思うほどw
それを一般の方が自分で根元付近から染めつつ頭皮や顔周りに付けないなんて無理な話です。
そのため絶対に肌に付いてしまうことを想定してて、「肌や頭皮が汚れてとれない!!」なんてクレームが起きにくいように、
もし付いたときにでも落ちやすいように染まりがわざと悪くなっているのです。
②加温機がない
ヘアカラーは全般的にそうなのですが、特にヘアマニキュアは健康な根元などの新生部の髪には『熱』の力を加えないと染まりが悪いです。
と言われる方もいらっしゃると思いますが、15分間ほどずっとドライヤーで温め続けている人はマレなのではないでしょうか?
腕を上げ続けないといけないので結構しんどいです。大抵の人は数分程度くらいしか温めないのではと思っています。
美容室にある加温機なら全体を満遍なく15分でも20分でも温め続けることが可能です。
③自分ではうまく塗布できない
そして、最後にはそもそも自分ではうまく塗布できないという問題です。
“地肌に付けないように地肌ギリギリからたっぷりのヘアマニキュアを塗布する”
というのはやはりプロの技術があってこそ出来ることです。
見える範囲や、腕の届きやすいところはソコソコ濡れても後ろなどをきちんと塗布するのは不可能に近いです。
そして①にも通じる話ですが、市販のヘアマニキュアは一般の方が使用してもムラになりにくいように剤の硬さをやわらかめに作られています。
やわらかいと髪へのひっかかりも少なく、塗布も容易でムラにはなりにくいのですが、量を多く乗せて塗布するのが難しいです。
なのでプロ用のヘアマニキュアは市販のものと比べて硬めになっています。
硬い分髪の毛への馴染みは悪いので、スライスを細かくとりながら丁寧に塗布しないとムラになります。
しかしながら硬い薬剤を細かく塗布していくことでたっぷりと量を根元ギリギリのところから塗布することができるので染まりも良くなります。
つまりはプロの技術と薬剤で染めることができますので、
同じ「ヘアマニキュア」というものでも、比べものにならないくらいしっかりと染めることが出来るのです。
実際の美容室でのヘアマニキュアの例
僕のお客様でジアミンアレルギーになってしまってからヘアマニキュアで染められているお客様が何人もいらっしゃいます。
今回のFさんもヘアカラーで顔がパンパンに腫れてしまった経験をして、
ご相談させてもらった結果、ノンジアミンであるヘアマニキュアに変えることにしました。
それからかぶれや顔の腫れなどは全くなくなり、何度かヘアマニキュアをさせていただいております。
Before
前回のヘアマニキュアから5ヶ月ほど経ってしまっているので根元の白髪がかなり目立ってしまっている状態です。
しかし、前回染めた部分の色落ちはほとんどなくしっかりと黒いまま保てているのがわかります。
市販のヘアマニキュアで自分で染めて、5ヶ月間ほったらかしだった場合はこんなに色持ちすることは難しいでしょう。
施術スタート
今回も『ダークブラウン』のヘアマニキュアでしっかりと染めていきます。
塗布は見えやすい顔周りや分け目のところをたっぷりと。
コームを使いながら、根元ギリギリのところからたっぷりと薬剤を乗せていきます。
なので、これまでにヘアマニキュアを経験されていた方でも、「すごい丁寧に塗ってくれるんですね」「これは自分では出来ないですね」なんて言われることもあります。
この細かくたっぷりと塗るという緻密な作業もヘアマニキュアの染まりと色持ちをよくするポイントになります。
たっぷり塗布したら、
加温機(ローラーボール)で温めて、
少し冷やして(クーリング)から、
シャンプーしたら終わりです。
After
あんなに白く目立っていた白髪がしっかりと黒く染まりました!(*^^*)
「ヘアマニキュアは染まりが悪い」なんてイメージが少し無くなりそうではないですか?(´∀`*)
これまで自宅でしかヘアマニキュアを使ったことがなかったり、ずいぶん前にした以来で、最近のヘアマニキュアを経験されていない方は、
実は思われているより、染まりがよくて、色持ちがいいと感じるかもしれません!
髪色は明るくしなくてもいい、ちょっとメッシュっぽくなってもいいと思われている方なら、安全性が高く、髪の毛も傷みにくいヘアマニキュアに一度変えてみてもいいかもしれませんよ?!
ではでは。
全国で理美容師向けのアレルギー・ノンジアミンカラーのセミナーも行っています。お気軽にお問い合わせ下さい。
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あっくん★
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