「ヘアカラー」「ヘアマニキュア」「ヘアトリートメント」・・・
などなどカラー剤にはたくさんの種類がありますが、みなさんその違いをきちんと知っていますか?
まず一口に「カラー剤」といっても実は「医薬部外品」と「化粧品」に分かれています。
引用 http://www.jhcia.org/product/
今回はそんなたくさんあるカラー剤はそれぞれどう違うのか?
ということについて詳しく解説していきたいと思います!
〔もくじ〕
『医薬部外品』分類のヘアカラー剤
①ヘアカラー(酸化染毛剤)
一般的な「ヘアカラー」とは、この酸化染毛剤のことを示すことが多いです。”おしゃれ染め”とか”白髪染め”と呼ばれるものも基本的にこのタイプです。
1剤に酸化染料とアルカリ剤 2剤に過酸化水素が含まれており、使用する直前に混ぜることで効果を発揮します。
アルカリ剤と過酸化水素により髪のキューティクルを開き髪のメラニン色素を脱色し、
酸化染料を髪内部にまで浸透させることで髪を染めるという仕組みになっています。
つまり、髪の毛を”脱色する作用”と”染色する作用”の両方も併せ持っており、色の種類も豊富なため、
他のカラー剤よりも髪の色を変えやすく、現在のヘアカラーの主流となっています。
発色がきれいで色もちがよく、白髪も染めることができたり、期間も2~3ヶ月と色持ちがよいのが特徴です。
そんな便利な酸化染毛剤ですが、髪の毛を明るくする作用があるために、髪の毛にダメージが出やすいことと、
酸化染料の中にジアミン(パラフェニレンジアミン)と呼ばれる髪に黒やブラウンを作る元になる色素が、
かぶれやアレルギーの原因になる可能性があるので注意が必要です。
酸化染料としては「ジアミン染料」が有名ですが、他にもアミノフェノール系と呼ばれる染料や直接染料と呼ばれる種類の染料などいくつかの種類が混ぜられている場合が多いです。
まとめ
- 現在のヘアカラーの主流
- 明るくも暗くもでき、色味も豊富
- ジアミン染料が入っておりアレルギーの可能性がある
②ブリーチ・ライトナー(脱色剤、脱染剤)
「ブリーチ」の名の通り、髪の毛を脱色する作用があります。
「ライトナー」とは一度ヘアカラー剤で染めた髪を脱染(染料を取り除く)や、一定の明るさまでになるように調節したものです。
アルカリ剤と過酸化水素が反応し、髪の内部のメラニン色素を分解・脱色して髪色を明るくします。
酸化染料などの染料は含まれてませんのでジアミンアレルギーの心配はありません。(ブリーチ反応による頭皮への刺激はあります)
髪の毛の色を一度に早く明るくするには最適ですが、髪へのダメージは大きいので注意が必要です。
美容室としてはブリーチは縮毛矯正と並ぶダメージの起こりやすいメニューになります。
まとめ
- 色は無いが髪の毛を明るくすることが出来る
- パワーが強いので、髪は傷みやすい
- 頭皮につくとシミやすい
③お歯黒(おはぐろ)式カラー『非酸化染毛剤』
おはぐろ式とは、お歯黒の染まる原理を利用したのもので、
非酸化染毛剤と呼ばれるように”酸化しない”毛染めです。
こちらは歴史は長く、明治時代の頃から使用されていたと言われています。
過酸化水素を使用せず、鉄イオン(硫酸第一鉄)と多価フェノール類とアルカリ剤を混ぜることによって黒色の色素を生成し毛髪を染色します。
過酸化水素を使用しないので毛髪へのダメージは小さいですが、髪の色を明るくすることはできません。
酸化染料も含まれませんので「ジアミンアレルギー」の心配はありませんが色の種類もありません。
ジアミンアレルギーはありませんが、金属アレルギーの方はアレルギーを起こす危険性もありますので
また、配合されている金属とパーマ剤の還元剤が反応し、還元力が低下するためにパーマがあたりにくくなると言われています。
色持ちは1ヶ月程度。
他のカラーとは違い二度塗りしないといけないので時間がかかりめんどくさいと言われます。
まとめ
- 現在はほとんど使われていない
- 染めるのに手間がかかる
- 黒っぽい色のみ
④香草カラー
香草カラー剤は、名前の通りで香草(カミツレ、カモミールやセージ、ローズマリー)などのハーブや植物、漢方の中に、
化学染料を粉末にして混ぜているものです。
コンセプトとしては通常のアルカリカラー(酸化染料)で起こる「傷み、臭い、染みる」という不快な要素をできる限り無くしたもので、
アルカリ剤(ブリーチ・膨潤)、過酸化水素(発色・ブリーチの活性化)、界面活性剤(浸透促進・クリーム状)
などを含みません。(過酸化水素を使用する商品も一部あります。)
化学染料に関しては基本的には『ジアミン染料』が入っています。(中にはヘナやインディゴ、塩基性HC染料のものもあるようです)
染まる仕組みとしては、香草カラー和漢彩染は粉末状になっておりお湯で溶かしてから使用します。
粉末に含まれる化学染料(ジアミン染料)と過ホウ酸ナトリウム(過酸化水素より優しい酸化剤)が水分を含むことで反応し合い発色し白髪を染めます。
ただしアルカリ剤が含まれていないため黒髪のところは明るくならず白髪のところだけ色が入るように染まります。
(正確にいうと黒髪にも色が付きますが、地毛の黒が強いので黒のままに見えます)
まとめ
- 髪や頭皮への負担は少ない
- 基本的には髪を明るくはできない
- ジアミン染料は入っているのでアレルギーの人は注意
医薬部外品まとめ
以上が「医薬部外品」に分類されるカラー剤になります。
特徴としては、過酸化水素の使用が認められているために、ブリーチ作用を与えることが可能なカラー剤が多いです。
その代わり髪の毛のダメージが起こる、頭皮に刺激を与えやすいという副作用を持っているのです。
もう一つは「ジアミン」の使用が認められていますので、ジアミンアレルギーのある方は使用に注意が必要です。
これらは、同じ「医薬部外品」同士のパーマ剤とは1週間以上空けて施術しないといけないと薬機法で決められています。
そして原則として、
使用する際はパッチテストをしないといけません(ブリーチ・ライトナーを除く)
『化粧品』分類のヘアカラー剤
①ヘアマニキュア(酸性染毛料)
酸性染毛料(ヘアマニキュア)は、酸性染料がイオン結合により髪の表面に着色します。
酸化染料より鮮やかな発色が可能ですが、
ブリーチ作用はないために、髪色を明るくすることはできません。
黒髪はほんのりニュアンスが変わる程度です。
白髪や先にブリーチなどをして明るくした髪にはハッキリと鮮やかな色を表現することが可能です。
色持ちは3~4週間程度と言われ、シャンプー等で徐々に色落ちしていきますが、最近のものは比較的長持ちしてくれてます。
「ジアミン」は含まれませんのでジアミンアレルギーの方でも使用できますが、地肌につくと頭皮が染まってしまうため、
根元は数ミリ程度空けて塗布することになります。
まとめ
- 髪を明るくすることはできない
- 安全性は高い
- 根元からは染めることができない
②カラートリートメント(塩基性・HCカラー)
HC染料や塩基性染料は2001年に薬事法規制が改正された後、化粧品に配合できるようになった比較的新しい染料です。
この二つはカチオン性のものと相性が良いためにトリートメントに配合することが可能です。
「HC染料」の分子は小さくためにキューティクルを開く必要がなく、髪の内部に浸透して染めることが可能です。ただしすぐに流れて色落ちしやすいという特徴があります。
「塩基性染料」は分子が大きいため髪の内側には浸透せず、髪表面に付着してイオン結合することで色を付けます。「+」電化を帯びており、髪が「-」の電化を帯びている状態(pHがアルカリに傾いている状態)ほどよく染まります。
カラートリートメントと呼ばれる商品は、塩基性染料・HC染料どちらか一つが配合されているというわけではなく、
染まりはいいが色数の少ない「塩基性染料」と、
染まりは悪いが色数が多い「HC染料」の
お互いの欠点を補うように両方が配合された製品が多いです。
色持ちは2~3週間程度。シャンプー等で比較的早めに色落ちしやすいです。
市販品では繰り返し使用して染めることをオススメしているものが多いです。
特徴はヘアマニキュアと似ていて黒髪を脱色する作用はありませんが、地肌についても比較的落としやすいために根元から塗布できるという特徴があります。アレルギーの心配もほとんどありません。
現在開発中の新規染料も分類状はこの「HC染料」に入るようです。(詳細がはっきりとすればまた追加します)
ちなみにHC染料のHCとはヘア・カラーの頭文字でヘアカラー専用の染料ということになります。
まとめ
- 安全性は高い
- 頭皮から染めることができる
- 色落ちが早い
③ヘナ、インディゴなどの植物性カラー
「ヘナ」はミソハギ科の植物。熱帯地域インドなどの、標高が高く水はけのよい土壌で育ちます。
ヘナの葉には、ローソンというオレンジ色の色素が含まれています。
ローソンはタンパク質の分子と結びつく性質があるので、古代から葉を乾燥させて粉にし、水でといたもので、髪や眉毛、手足、爪などを染めるのに使われてきました。
「インディゴ」とはこちらもインドで栽培されるハーブの一種で、デニムなどにも使用されるブルーに発色する天然の植物染料です。
これらの植物を乾燥させたものを水に溶いてペースト状にしたものを髪に塗って染めていきます。
天然の植物であるが故に色のバリエーションが少なく染まりも悪いため、酸化染料(ジアミン)などを混ぜた製品などもあり、かぶれやアレルギーのある方は信用できるメーカーのものを選びましょう。(色のバリエーションがたくさんあったり、染まる時間が早いなどと書いてあるタイプは他の染料が含まれていると思った方がいいでしょう)
植物なのでブリーチ作用はなく、黒髪を明るくすることはできません。
植物独特の匂いとキシミを感じることもあります。(数日で気にならなくなります)
ナチュラルヘナは分類上この「化粧品」にあたりますが、化学染料(ジアミン)の含まれるヘナは雑貨扱いとなり輸入されます。
まとめ
安全性は高い
- 染まりは悪く、色味も限定的
- 草っぽい独特のにおいがある
④カラースプレー、ヘアマスカラ等(一時染毛剤)
無機顔料や法定色素などの着色剤が樹脂の力で髪の表面を覆うことで着色します。
一時的に髪の色を着色したい時、部分的に手軽に着色したい時に使用するタイプです。
着色は一回のシャンプーで落ちますのでその日だけ髪の毛を染めたい場合に使います。しかし、汗や雨などでも色落ちし、衣服を汚すことがあるので注意が必要です。
酸化染料は含まれていませんのでかぶれ、髪の傷みはありません。
白髪隠しがメインですが、最近は鮮やかな色が付くものも増えてきて、普段できないような色を楽しめたりメッシュを入れたかのような楽しみ方ができるのでイベントやパーティなどでも人気です。
カラーチョーク、カラークレヨン等呼ばれるステイック型の商品もあります。
まとめ
- その日だけ髪色を変えたい時に便利
- シャンプーすれば落ちる
⑤銀塩(イオン)カラー(感光性染毛料)
髪を傷めずに、太陽光や照明などの光で染まる銀イオン配合のクリームタイプのカラー剤です。
時間を置きすぎても髪や肌へのダメージは少なく、ジアミンアレルギーの人でも使えます。
ただし黒髪を明るく染めることはできません、繰り返しの使用と光を当てることで徐々にブラウン系の色に染まっていきます。
ただし、この「感光性染毛剤」を使用した後に、通常のヘアカラー(酸化染毛剤)を使用すると、
髪の毛が緑に変色するので注意が必要です!!
まとめ
- 使用すると他のカラーやパーマが出来なくなる
- 最近はあまり流通していない
化粧品まとめ
以上のように化粧品に分類されるカラー剤は髪の毛を明るくする力がないものになります。
数回の正しい使用方法では髪の毛をダメージさせることはほとんどありません。
頭皮への刺激も少なく安全性が高いものが多いですが、必ずしも絶対に安全だということはなく、それぞれにアレルギーなどの危険性はあります。
それぞれの特徴を把握していないと何かしらのトラブルになりかねないので注意してくださいね。
ヘアカラーの種類総まとめ
いかがでしたか、一概に「ヘアカラー」と言っても、医薬部外品・化粧品とこんなにたくさんのカラー剤の種類があるので、
一般の方が望む髪色や安全性について的確なものを自分で選ぶのはとても困難です。
ホームカラーは安くてお手軽かも知れませんが、
失敗して思った色にならなかったり、髪の毛が傷んだり、肌がかぶれたりなどのトラブルが起こってしまうと、
後で、直そうと思った時にその時の何倍ものお金と時間が必要になってしまうことがあります。
使用するヘアカラーは、なりたい色や頭皮の状態などを確認した上で信頼できる美容師さんと一緒に相談して決めることがベストです。
ではでは。
こちらの記事もおススメです★
あっくん★
最新記事 by あっくん★ (全て見る)
- 広島でノンジアミン「NODIAカラーセミナー」を開催したよ! - 2024年11月21日
- YouTubeチャンネル「美容師あっくんのヘアケアちゃんねる」始まりました! - 2024年11月11日
- 大阪発のWEBメディア「オオサカジン」で紹介していただきました! - 2024年11月4日