どーもー!
髪と頭皮のことを真剣に考える美容師あっくんです。
かぶれる、フケが出る、かゆみがある・・・など、
近年頭皮のトラブルに悩む人が増えてきています。
ご相談を受けて気になるのは、間違ったヘアケアやカラーリングやパーマが原因になっているケースがいくつかあります。
今回は美容室にご来店されるお客様からご相談される事の多い、頭皮トラブルとその原因や対処法についてまとめてみます。
- 頭皮の構造と特徴
- 代表的な4つの頭皮トラブル
- 頭皮トラブルの症状と原因
- 正しい頭皮ケアと対処法
などがわかります。
〔もくじ〕
「頭皮の構造」肌との違いは?
頭皮と肌の違いってわかりますか?
頭皮トラブルの対処法を知る前に、頭皮の仕組みを知ることで頭皮に起こる皮膚炎の原因と対策が理解しやすくなりますので、
頭皮トラブルを回避・解決する為の前提知識として最初に解説させていただきます!
頭皮は、顔や足の裏などと皮膚の構造は同じですが、他と比べた時の大きな違いは毛包の多さの違いになります。
毛包とは毛穴にある皮脂を分泌するところです。つまり頭皮は他の肌と比べて皮脂の分泌が多いという特徴があります。
皮膚の構造
皮膚は、表皮、真皮、皮下組織という3層でできています。引用 https://www.daiichisankyo-hc.co.jp/site_hifuken/qa/construction/
この皮膚の基本構造は身体のどの箇所でも同じですが、毛包、汗腺などの数、分泌量はそれぞれの部位によって違います。
頭皮の特徴は顔や手足と比べて毛包が多いことです。
毛包には皮脂腺がついており、毛穴からは皮脂が分泌され、皮膚表面を覆って保湿するという役割があります。
手のひらや足の裏の皮膚には汗腺が多いけれども、毛穴 (毛包)がないので皮脂が分泌されません。
皮脂は皮膚を守ってくれる大切な”バリア機能”のひとつです。
もともと皮膚は、外界から内部を守る城壁の役目を果たすだけでなく、外からの刺激やかぶれ物質をブロックするバリア機能を持っています。
もっとも大事なバリア機能を担うのが「表皮」であり、 その表皮の最前線でバリアを張ってくれているのが「皮脂」になります。
頭皮の特徴
頭皮には毛髪が生えているため、毛包(毛穴)が多いのが最大の特徴。毛包には皮脂腺が付随しているので、皮脂の分泌が多い。
顔の皮膚の特徴
顔の皮膚の特徴は皮脂腺が多いこと。
にきびは身体の他の部分よりも顔に多くできやすいが、これはニキビ菌がいる皮脂腺が多い場所だから。
足裏の皮膚の特徴
足裏や手のひらの皮膚には汗腺が多い。
頭皮や顔と違って皮脂腺がないので、皮脂が分泌されず、汗の成分で潤う。
頭皮に起こる皮膚炎
この頭皮の表皮に起こる代表的な皮膚炎には、
脂漏性湿疹やアトピー性皮膚炎、接触皮膚炎(かぶれ)などの湿疹群と、 表皮の細胞増殖も伴う乾癖(かんせん) などがあります。
これらはいずれも感染する心配はないので、直接触れても問題はありません。
一方で皮膚のデリケートさや原因に違いがあるので、特徴を知っておくと適切なケアが出来るようになります。
代表的な頭皮の皮膚炎についてそれぞれ詳しく説明していきます。
- 脂漏性皮膚炎
- 乾癬
- アトピー性皮膚炎
- 接触性皮膚炎
脂漏性皮膚炎
引用 https://note.com/tensai4516/n/nfab5d25e398a
【症状】
皮脂腺がついた毛包がある部位、特に皮脂腺が発達して多数集まった「脂漏(しろう)部位」 にできる湿疹です。
毛包(毛穴)の多い頭皮はこの脂漏性湿疹起こりやすい場所になります。
頭皮の他には、まゆ毛、鼻の脇、耳の中、 前胸部、 わきの下、 背中などにもできやすいです。
炎症を起こすと地肌が赤くなり、かゆくなりますが他人に感染することはありません。
【原因】
毛穴に常在している真菌「マラセチア菌」(すべての人が持っている常在菌)が皮脂を分解して脂肪酸などをつくり、それが炎症を引き起こす原因と考えられています。
季節の変わり目に症状が出ることが多いという特徴があります。
またストレス、 寝不足、 アルコールの過剰摂取などでも湿疹が引き起こされるので普段の生活にも注意が必要です。
【注意】
皮膚炎すべてに共通しますがシャンプーは脱脂力の弱い剤を使うようにしましょう。
皮脂膜を余計にとり去らないよう、お湯はぬるめに(38〜40℃)設定する。
指先で頭皮をこするのは避け、掌でなでるように洗う。
流す際にもあまりこすらないように気をつけ、 手にお湯をためて流したり、水流で流すようにする。
毎日〜1日おきなど、 頭皮の皮脂量に応じた適切な洗髪が重要。
自宅での洗髪もトニック系のシャンプー剤を避け、強くこすらないように注意。
毛穴で増加している菌を減少させるため、抗真菌薬を配合したシャンプー剤を使うのがオススメ。
乾癖(かんせん)
引用 https://www.excite.co.jp/news/article-amp/HealthPress_201712_post_3381/
【症状】
赤く盛り上がった紅斑(こうはん)の上に、 カサカサしたフケのような白い粉 (鱗屑/りんせつ)がついた皮膚炎。
表皮の細胞が増殖して厚くなり、その角質がぱらばら落ちる。血管が拡張しているため赤く見える。
患部と正常な部分との境目がはっきりしているのが特徴 (アトピ一性皮膚炎などでは境目が暖味)。
頭部から発症することが多く、 ひじ、 ひざ、 爪など、色々なところに表れる。
【原因】
接触性皮膚炎、脂漏性皮膚炎、 アトピー皮膚炎は『湿疹』のジャンルですが、乾癖は『炎症性角化症』に分類されます。
免疫反応の異常により表皮の新陳代謝が活発になり過ぎて、細胞が生まれ変わるサイクル (ターンオーバー)が通常よりも短縮され、 結果として表皮の細胞が増殖して厚くなります。
細胞のターンオーバー周期は正常な皮膚では28日〜45日程度とされていますが、乾癖の皮膚は1週間程度まで短縮されてしまいます。
もともとの体質にストレスや体重増加などが加わって発症するといわれています。
【注意】
一般的にアカやフケ(不要になった角質)は1か月半ではがれ落ちますが、
乾癖の場合は1週間で落ちてしまうので、汚れはむしろ少ないと言えます。
そのためシャンプー剤に洗浄力は必要なく、 泡で包んでさっと洗うくらいで十分です。
乾燥を避けるため、お湯もぬるめにして弱酸性で脱脂力の弱いシャンプーを使用しましょう。
乾癬は刺激で悪化する性質(ケブネル現象という)があるため、繰り返しこすることで炎症が広がってしまうので、 ゴシゴシ洗うのは厳禁です!
タオルドライもやさしく、タオルで頭皮をおさえるように水気をとりましょう。
ドライヤーもかけ過ぎにも注意。 乾いてつっぱり、痛みを感じることがあります。
乾癬は頭皮から発症することが多く、 理美容師さんはちゃんと理解しておいて欲しい皮膚炎です。
患者自身が気にされている事が多く、「かんせん」という名称から勘違いしやすいが”感染”する病気ではないので、「触ったらうつる」 ということは決してありません!
見た目の印象で驚いたり避けたりせずに、普通に対応してあげてください。
他の皮膚炎と比べて、 かぶれにくく感染もしにくい特質を持っているので、カラーやパーマも基本的には楽しめます。
ただし、しみることがあるので施術前には頭皮全体に保湿オイルを塗布したり、出来るだけ薬剤が地肌につかないようにしましょう。
アトピー性皮膚炎
【症状】
強いかゆみのある湿疹を繰り返す皮膚疾患。
乾燥した肌に、カサカサした、あるいはジクジクした湿疹ができ、良くなったり、 悪くなったりを繰り返すのが特徴になります。
乾燥や汗、 刺激によってもかゆみが増しやすくなります。
【原因】
もともと皮膚のバリア機能が低下しており、
乾燥しやすい遺伝的な素因(アトピックドライスキン)とアトピー素因 (アレルギーを起こしやすい過敏性の体質)をもっているところに、
ほこりやダニ、動物のフケなどの、 日常生活で接する外的因子や、精神的ストレスが加わって皮膚炎が悪化します。
【注意】
アトピー性皮膚炎の患者は、 もともと皮膚に水分を保持するのに重要な「セラミド」が、 通常の60%程度しかつくられないため、保湿力が低下しています。
乾燥や刺激によってかゆみが増しやすくなるため、脱脂力の弱いシャンプー剤と、ぬるめのお湯で乾燥の悪化を避けましょう。
シャンプーやタオルドライの際に肌をゴシゴシこするのもやめましょう。
アレルギー性のかぶれが起きやすいので、 シャンプー剤は添加物が少ないものが向きます。
また仕上げにスタイリング剤を使う際には、頭皮につかないように気をつけましょう。
アトピー性皮膚炎の方に、カラーやパーマは絶対NGというわけではありませんが、
頭皮や額、うなじなどに明らかな皮膚炎があるときは避けるべきです。
その他のアレルギーなどもお持ちであるケース多く、かぶれやすい体質であるか確認するなど、一人ひとりのコンディションを見て判断する必要があります。
生え際やうなじは必ずワセリン(フェイスクリーム)で保護してから施術しましょう。
カラーやパーマをした後は、自宅での保湿に気を使ってもらえるようアドバイスします。
接触性皮膚炎(刺激性・アレルギー性)
接触性皮膚炎は、何らかの外的刺激が肌に接触し、接触した部分に湿彦を生じる疾患。いわゆる「かぶれ」のことです。
「①刺激性接触皮膚炎」と「②アレルギー性接触皮膚炎」に分類され、
ヘアカラー剤やヘアケア製品の成分の一部に、接触性皮膚炎の原因になるものがあります。
①刺激性接触皮膚炎
刺激物質が皮膚に接触したときに、皮膚の細胞(表皮細胞など)が刺激されて生じる皮膚炎のこと。
炎症の程度は、刺激の強さによります。
【症状】
頭皮、髪の生え際、まぶた、額、耳のうしろ、首筋など、ヘアカラーの薬剤が直接接触したところや、
洗髪時のすすぎ液が接触したところに、かゆみ・赤み・腫れブツブツの皮膚炎症状が出る。
【原因】
ヘアカラー剤の成分である過酸化水素水、 アンモニアなどのアルカリ剤、アルコール類などが原因になります。
もともと皮膚が敏感な人、 皮膚のバリア機能低下がある人に起こりやすいです。
乾燥や頭皮の傷、爪などで引っかくことにより製品の成分が皮膚に浸透しやすくなることもきっかけになるので、皮膚の強い方も注意は必要です。
【注意】
原因となった刺激物質が取り除かれれば刺激はおさまるので、アレルギ一性皮膚炎よりも比較的回復が早いです。
ヘアカラ一剤が原因の場合、かゆみが出たときにすぐに拭き取ったり、洗い流したりすればおさまることが多いです。(すでに炎症を起こしてしまった場合にはそれが治るまでの痛みは発生します)
②アレルギー性接触皮膚炎
アレルギーの原因となる物質(アレルゲン)に対する過剰な免疫反応により生じる皮膚炎。
すべての人に症状が出るわけではなく特定の成分に対してアレルギーになった人だけに特異的に生じる。
【症状】
刺激性接触皮膚炎は原因となる物質に触れたあとすぐに症状が出るが、
アレルギー性接触皮膚炎はアレルゲンの接触から炎症が現れるまでに時間がかかり、翌日以降に症状が出ることが多い(遅延型反応と言う)。
カラー剤による接触性皮膚炎では強いかゆみを感じ、頭皮・髪の生え際・まぶた・額・耳のうしろ・首筋など、
ヘアカラーの薬剤が直接接触したところや、洗髪時のすすぎ液が接触したところに、かゆみ・赤み・腫れ・ブツブツ(丘疹や小水庖など)の皮膚炎症状が出ます。
刺激性接触皮膚炎よりも症状が長期化し、24〜48時間後にピークをむかえる。
症状が治っても、 もう一度原因物質(アレルゲン) に接触すればその度に再発してしまいます。
このアレルギー反応を繰り返すと、 まれにアレルギーのタイプが変化し重い症状(アナフィラキシー)が起きることがあるので注意が必要です。
アレルギー症状の重篤度には個人差があり、 軽い場合はわずかなかゆみや痛みを感じたり、 皮膚に赤みが生じる程度ですが、
皮膚炎の症状が強い場合には接触した部分を超えて皮膚症状が広がり、日常生活に支障を来すほどの激しいかゆみを伴います(自家感作性皮膚炎)。
【原因】
カラー剤の場合、 ほとんどの場合は酸化染料『パラフェニレンジアミン』が原因です。
このパラフェニレンジアミンは黒く濃い色に染めるもの(白髪染めや黒染め) ほど多く配合されています。
これらは「芳香族アミン」と呼ばれる物質で、パラフェニレンジアミンと似た化学構造を持ち、 同じようなアレルギーを起こす可能性があります。
ジアミンを含むヘアカラーはしっかりと染まる反面、強いアレルギー性を持っているので、頭皮だけでなく顔面やうなじが赤く腫れることも多いです。
【注意】
症状が起きたら、すぐに使用を中断し、早急によく洗い流しましょう!
48時間後にいちばん症状が強くなるので、それまで放置せず、悪化する前に医師の診断を受けてもらつようにしてください。
一度でもヘアカラーにかぶれると、 今後はメーカーや色番、ホーム用、 サロン用に関わらず、すべてのジアミンを含むヘアカラー(酸化染毛剤)が使えません。
代わりにヘアカラー以外のカラーリング剤(酸化染料剤を配合していない、ヘアマニキュア、カラートリートメント、ヘナなどの)ノンジアミンカラーを使用しましょう!
- カラーの前にパッチテストを行う。 皮膚に染
料を塗布し、アレルギー反応が起こるかどうか、あらかじめ知っておくことが重要。 - カウンセリングでその日の体調を確認 (飲酒
&二日酔い、睡眠不足、 生理前もしくは生理期間中、日焼け、貧血気味、 風邪をひいているなど) - これまで何度もカラーをしていた人でも、 環
境や生活習慣の変化などで体質が変わると、突然アレルギーを発症してしまうこともあること、かゆみや赤みを感じたらすぐに皮膚科を受診することなどを事前に説明しておく。 - カラー前のシャンプーを避ける。
- クリームやワセリンの使用。 生え際(おでこ·もみあげ·うなじ周り ·首など)に水をはじくクリームやワセリンを必ず塗る。染料が付着してしまった場合に、肌への刺激を減らし、色素沈着も防いでくれる。
刺激性接触皮膚炎とアレルギー性接触皮膚炎の違い(まとめ)
タイプ | 刺激性皮膚炎 | アレルギー性皮膚炎 |
発生 | 原因となる物質の刺激の強さが、皮膚の許容濃度を超えた場合に症状がでる。
発生場所は刺激物質との接触部位 同じ人物でもその時の体調や皮膚のコンディションによって症状が出たり出なかったりする |
特定の物質に対して過剰に反応し、接触・侵入した物質に対してアレルギー体質になることを感作という。感作が起きてしまった後、その物質に再度接触するとアレルギーが現れる。
発生場所は原因となるアレルゲンとの接触部位。症状が重くなると接触部を超えて症状があらわれることがある |
ヘアカラーで原因となる物質 | アンモニアなどのアルカリ剤や過酸化水素が原因となる可能性がある | ほとんどの場合、酸化染料のパラフェニレンジアミンが原因となる |
症状 | 痛み、かゆみ、発赤、水疱、腫れなど | かゆみ、発赤、水疱、腫れなど。場合によってはアナフィラキシーの症状(蕁麻疹、息切れ、動悸、嘔吐、血圧の低下など)が起きる事もある |
手当て |
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《まとめ》皮膚炎があったら注意すること
今回は美容室で相談されやすい頭皮トラブルの代表的な症状をご紹介させていただきました。
頭皮に、かゆい、かぶれている、フケが出るなどといった症状がある場合は、
- 「脂漏性皮膚炎」
- 「乾癬」
- 「アトピー性皮膚炎」
- 「接触性皮膚炎」
のどれかにあたる事がほとんどです。
正確な診断や治療は皮膚科で診てもらうことになりますが、それぞれデリケートな状態になっていますので刺激を与えるような行為は出来るだけしないようにしましょう。
最後に頭皮の皮膚炎がある時の対処法をまとめておきます。
シャンプー剤・・・洗浄力の高いシャンプー剤やトニック系を避ける
洗い方・・・指でゴシゴシこする洗い方は避ける。 泡で包み込むように、やさしく洗う。
流し方・・・お湯は乾燥を避けるため、ぬるめにする。流す際にもこするのを防ぐため、
手のひらにお湯をためて流すなど工夫をする。
タオルドライ・・・タオルで髪をおさえるようにやさしく水分をとる。乱暴にこすらない。
乾かし方・・・ドライヤーは乾燥を避けるため、高温にならないように気をつける。
カラーやパーマの前に・・・カウンセリングで体調や頭皮·肌のコンディションを確かめる。カラーの前にはパッチテストをする。
カラー施術・・・薬剤塗布前に保護オイルを使用する。頭皮や肌に薬剤がつかないように塗布する。薬剤が残らないようにしっかり洗い流す。
以上の事を心がけることで皮膚炎の悪化を抑えることが出来ると思います。
今まで間違ったことをしていたと思った方は試してみてくださいね。
ではでは。
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